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Coinbase徹底分析:暗号資産市場を牽引する“新たな金融インフラ”への道

暗号資産取引所から“新たな金融インフラ”へと進化を遂げつつあるコインベース。

ブロックチェーン技術・規制対応・多角化戦略など、知っておきたい最新トピックスを深掘りしよう。

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1. 財務表から読み解く企業価値

売上高・利益・フリーキャッシュフローの成長トレンド

  • 売上高
    2024年第3四半期(Q3 2024)の総売上高は約12億ドルで、前年や直近の四半期と比較して若干の減少傾向にある。しかし、依然として高水準を保っている。
    直近12か月(2023年Q4~2024年Q3)の累計売上高は約52.5億ドルと報告されており [冒頭資料]、トレーディング(取引)収益に加え、定期課金型サービス(サブスクリプション)やステーキング関連といった複数の収益源に支えられている点が特徴的だ。

 

  • 純利益(ネットインカム)
    2024年第3四半期の純利益は7,500万ドルほど。これにより、7四半期連続で調整後EBITDAが黒字化している。また、直近12か月ベースでは約15.6億ドルの純利益を記録しており、前年度の不透明感から徐々に回復基調にあるといえる。

 

出典:Coinbase - Financials - SEC Filings

主要財務比率と業界平均比較

  • PER(株価収益率)/PBR(株価純資産倍率)
    暗号資産関連企業は一般的にPER・PBRがやや高めだが、Coinbaseの場合は取引手数料ビジネスに加えてサブスクリプション収益の比率が上昇しているため、単純なPER比較だけでは測りにくい側面がある。

 

  • ROE株主資本利益率)、ROA総資産利益率
    前年度の市場低迷時にはマイナス近辺の水準になったが、2024年第3四半期は純利益の確保に伴い、指標が改善傾向にある。暗号資産業界はボラティリティ(価格変動)が激しいため、短期的にROEROAが変動しやすい。中長期的な推移をモニタリングすることが重要だ。

株価

基本的に重要な移動平均線とトレンドを示す。

(欧米の投資家は50日線を重要視。あとは200日線)

移動平均線は200日線が水色、50日線が紫、21日線が黄色、9日線がピンク。

 

銘柄:COIN

株価:287.76$ (2025年1月7日時点)

出典:YahooFinance:https://finance.yahoo.com/quote/COIN/

財務健全性とリスク

 

  • リスク要因
    1. 暗号資産価格の変動リスク:トレーディング手数料が主な収益の一部であるため、市場ボラティリティに左右されやすい
    2. 規制リスク:各国での暗号資産規制をめぐる動きが企業のビジネスモデルに影響する可能性。

2. 四半期・年次決算書から読み解いた考察

主要指標の前年同期比・四半期比

  • 2024年第3四半期は取引量(トレーディングボリューム)が1,850億ドルとなり、四半期ベースで約18%減少。
  • 取引収益は5.7億ドルで、前期比27%減少。
  • サブスクリプション&サービス収益は5.6億ドルで、前期比7%減少。

暗号資産市場の低ボラティリティに伴い取引収益が下振れしたが、サブスクリプション&サービス(ステーキング、カストディ、USDC関連)の収益は依然として大きな柱となっている。

セグメント別の成績と全体貢献

  • コンシューマ向け:個人投資家の安定取引が中心。四半期ごとに変動があるものの、ステーキング需要と長期保有(ホドル)ユーザーの存在は依然として底堅い

 

  • インスティテューショナル(機関投資家向け):プライムブローカー(大口顧客向けサービス)やカストディサービスの売上は伸長しているが、スポット取引量は市況低迷の影響を受けやや落ち込んだ。

 

  • デリバティブ:全体売上比率はまだ限定的だが、海外ライセンス取得やMiFID対応といった国際展開の進展により、中長期では成長の原動力となる可能性。

ガイダンスとマクロ環境

  • 2024年第4四半期見通し
    1. 10月時点の取引収益は約1.9億ドル。
    2. サブスクリプション&サービス収益は5.05~5.8億ドル。
    3. 技術開発費、一般管理費などは6.9~7.3億ドル。
    4. 販売・マーケ費用は1.7~2.2億ドル。

 

  • 金利や為替:米国の金融政策の変化やドル相場の影響を受けやすいが、USDCを活用した決済・送金需要などがプラスに働く可能性もある。
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3. CEOの洞察

CoinbaseのCEOブライアン・アームストロング氏の近年の発言や決算説明会でのコメントから、以下のようなビジョンや戦略が示唆される。

  1. 規制明確化への強いコミット
    米国を含む主要市場での暗号資産規制が明確化すれば、市場拡大や機関投資家からの資金流入が期待できると強調。2024年後の政権交代も見据え、政策提言や政治家への働きかけを強化している。
  2. サブスクリプション&ユーティリティ事業の拡充
    ステーキングやカストディデリバティブ、USDCを活用した決済・送金など、多角化による収益基盤の強化を目指す方針を表明。
  3. 革新的技術(Baseやスマートウォレット)の適用
    独自のLayer 2ネットワーク「Base」を活用した高速・低コストのトランザクションや、スマートウォレットの導入によるユーザー体験の向上を進める。既存の送金・決済チャネルにおける高速化とコスト最適化にも注力。

 

CEOの言うコア戦略は分散化、ユーティリティ拡大、規制との両立に集約されており、国内外のライセンス取得やパートナーシップによって、その一貫性を示している。

投資家向けには「暗号資産が日常生活に溶け込む未来」を見据え、長期的な視点でのマーケット拡大に期待が寄せられる。

4. 市場ポジションと競争

市場シェア・競争優位性

  • 市場シェア
    米国内の暗号資産スポット取引でトップクラスの一角を占めており、さらにカストディやステーキングなど多方面でも存在感を伸ばしている。

 

  • 競争優位性
    1. 規制対応力:上場企業としての透明性と高いコンプライアンス態勢
    2. 多角的収益源:スポット取引収益に加え、デリバティブサブスクリプションなどの安定収益
    3. 十分なキャッシュリソース:82億ドル超の手元資金やUSDC保有により、M&Aや新規事業への投資余力を強みにしている。

主要競合と差別化

  • グローバル取引所(Binance、Krakenなど):低い手数料や幅広い取扱銘柄で競合
  • 金融大手(トラディショナル)(Charles Schwab、Fidelityなど):暗号資産関連ETFや取引サービスなども検討されており、長期的には競争相手になり得る。
    • Coinbaseは暗号資産ネイティブの企業として、技術力とサービス多様化で差別化を図る構え。

最近の市場トレンドに対する影響

  • 技術革新:独自のLayer 2技術(Base)やスマートウォレットにより、低コスト・高速送金への期待が高まっている。

 

  • 規制変更:米国での法整備進展(ETF承認など)や各国のライセンス制度が整えば、機関投資家の参入拡大が見込まれる。

 

  • 消費者行動の変化:資産の一部を暗号資産へ振り分ける個人投資家や、新興国でのステーブルコイン需要などが高まっており、利用者層は広がりを見せる。

5. ビジョンと将来展望

短期・中長期の目標

  • 中長期(2025年以降)
    1. 暗号資産ユーザー数を1億~10億規模に拡大。
    2. BaseやUSDCを基盤とした新たな金融インフラの構築。

ビジョン達成に向けた戦略

  1. M&Aや戦略投資:小規模スタートアップや海外拠点の買収などにより、サービス開発と国際展開を加速。
  2. 研究開発(R&D):Layer 2技術、ウォレットのセキュリティ強化、プロダクトのアップグレード。
  3. 規制対応・ロビー活動:StandWithCryptoやFairshakeなどの支援を通じ、政治・法整備における安定基盤づくり。

実現可能性と主なリスク

  • 実現可能性
    堅固な技術力と十分な資金力により、グローバル市場での競争優位を維持しながら成長する余地が大きい。

 

  • リスク
    規制が長期化・不明瞭化した場合や、市況の急落、スキャンダルなどでユーザー離れが進む怖れ。

投資家にとっての注目点

  • 収益多様化とユーザーベース拡大の進捗。
  • 2024年末~2025年にかけての国際規制の進展や、新たな金融商品の出現。
  • 自社株買いプログラムなどを通じた株主還元の動向と財務安定性。

まとめ

Coinbase Global, Inc.は暗号資産取引所としての知名度に留まらず、サブスクリプション&サービス(ステーキング、カストディデリバティブなど)を主体とした多角化戦略により、安定した収益基盤を構築しつつある。

 

2025年に向けては、以下の点が投資家や利用者にとって重要となる。

  • 規制の明確化と暗号資産市場への資金流入
  • 国内外でのユーザーベース拡大
  • 自己株買いによる株主還元や財務の安定性
  • 国際展開と技術力(Base、スマートウォレットなど)

CEOのブライアン・アームストロング氏は、「1秒あたり1セント未満の送金コスト」を目指すLayer 2技術を掲げ、暗号資産が日常の決済・送金インフラとして定着する未来を想定している。

 

マクロ環境や規制リスクへの警戒は必要だが、強いキャッシュポジションとカスタマーベースにより、市場リーダーとしての地位を今後も維持していく可能性は高いと考えられる。

羊の雑記

ビットコインは10万ドルを回復してきましたね。9万ドル付近が底固くなってきたので、ボラリティが低くなっている気がします。

トランプ政権や現在の風潮を見ると、仮想通貨は上昇が基本となりそうです。

羊はビットコイン連動のETFを積み立てていますが、最近ではゴールドと同等かそれ以上の安定感が出ています。

 

世界各国のデジタル通貨の動向もありますが、今後「通貨」という概念が大きく変わる時代にやっとなってきたのかもしれません。

 

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