Palantir Technologies Inc. (以下、PLTR)は、ビッグデータ分析と人工知能(AI)を活用したソフトウェアプラットフォームを提供する企業で、本社は米国コロラド州デンバーに位置する。
主な事業は、政府機関や民間企業向けにデータ統合、分析、意思決定支援ツールを提供することである。
注目すべき最近のトピックは、2025年第1四半期決算発表で、売上高が前年同期比39%増の8億8,400万ドルに達し、特に米国市場での売上高が55%増、商業部門が71%増と急成長した点だ。
この成長を牽引したのは、AIプラットフォーム「AIP」の需要拡大である。本記事は、最新の決算データや市場情報を基に、PLTRの投資価値を客観的に分析する。
Technical chart
基本的に重要な移動平均線とトレンドを示す。
(欧米の投資家は50日線を重要視。あとは200日線)
※移動平均線は200日線が水色、50日線が紫、21日線が黄色、9日線がピンク。
銘柄:PLTR
株価:123.77.$ (2025年5月6日時点)
出典:YahooFinance:https://finance.yahoo.com/quote/PLTR/
企業分析
PLTRの市場評価を以下の指標で分析する(データは2025年5月5日時点)
- 時価総額: 2,920億5,900万ドル
- PER(株価収益率): 500倍以上(業界平均47.7倍、S&P500平均26.9倍)
- PBR(株価純資産倍率): 58.2倍(業界平均10.2倍、S&P500平均5.0倍)
最新決算では、売上高が39%増、米国商業部門が71%増と急成長し、株価は年初来63.7%上昇、過去1年で448.9%上昇した。
この急騰により、PERとPBRは業界や市場平均を大幅に上回り、市場の高い成長期待が株価に反映されている。
ただし、PERが500倍を超える水準は利益に対する株価の高さを示し、投資家は成長の持続性を見極める必要がある。
競合との優位性
PLTRの競争優位性を以下に分析する
- 市場シェア: データ分析ソフトウェア市場での具体的なシェアは非公開だが、米国政府や大手企業との契約実績からニッチな地位を確立している。
- 技術革新: AIとオントロジー(データの意味的関係を定義する技術)を組み合わせた「AIP」は他社との差別化要因である。CEOのアレックス・カープは、これを「自己運転型企業」の実現手段と位置づける。
- ブランド力: 政府機関や大手企業からの信頼が厚く、特に米国市場で認知度が高い。
- コスト構造: ソフトウェア中心のビジネスモデルにより、粗利益率は80.3%と高水準を維持する。
競合比較では、Salesforce(CRM)、Oracle(ORCL)、IBMと比べ、PLTRはAIとデータ分析に特化し、政府契約での実績が強みである。
SalesforceはCRM、Oracleはデータベース、IBMは幅広いITサービスに注力するが、PLTRのAI特化型アプローチは独自性を発揮する。
利益率
PLTRの利益率の推移と業界比較は以下の通り(2024年TTMベース)
- 粗利益率: 80.3%(業界平均65.3%)
- 営業利益率: 10.8%(業界平均29.6%)
- 純利益率: 16.1%(業界平均21.8%)
粗利益率は過去数年で安定し、業界平均を上回る。
営業利益率は改善傾向にあり、2024年TTMで10.8%に達したが、業界平均には及ばず、成長投資が影響している可能性がある。
純利益率も業界平均を下回るが、収益性の向上が確認される。
センチメント
投資家の感情を以下のように分析する。
- 市場反応: 2025年第1四半期決算発表後、株価は一時下落したが回復し、年初来63.7%上昇した。SNSやニュースでは、成長期待とバリュエーションの高さに関する議論が活発である。
- 株価変動: 過去1年で448.9%上昇し、市場の強い期待を示す。
- アナリスト予想: 2025年のEPS(1株当たり利益)は0.55ドル、2026年は0.69ドルと成長が予測され、市場の楽観論を裏付ける。
決算後の市場反応は成長への信頼を示す一方、バリュエーションの高さに警戒感も混在する。
成長性
PLTRの成長性を以下の指標で評価する。
- 売上高成長率: 2024年TTMで22.8%増、過去3年平均20.3%増。
- 利益成長率: EPSは過去1年で58.3%増。
- 新規事業: 「AIP」の展開が米国商業部門の成長(71%増)を牽引し、新規契約が加速している。
決算データから、AI需要の拡大による成長の持続性が期待される。特に米国市場での拡大が顕著で、顧客数は前年比39%増の769社に達した。
割安か割高か
PLTRのバリュエーションを以下の指標で評価する。
- PER: 500倍以上(業界平均47.7倍)
- PBR: 58.2倍(業界平均10.2倍)
- EV/EBITDA: 839.4倍(業界平均21.7倍)
これらの指標は競合や業界平均を大幅に上回り、株価は割高と評価される。
成長期待が織り込まれているものの、現在の株価は利益やキャッシュフローに比べて高水準である。
懸念材料
投資における潜在的なリスクは以下の通り。
- 法的問題: 政府契約の透明性やデータプライバシーに関する懸念が浮上している。
- 競争激化: AI・データ分析市場でSalesforceやOracleなどの大手が参入している。
- マクロ経済の影響: 経済不確実性の中、企業や政府のIT支出が抑制される可能性がある。
- 株価変動リスク: 1年ベータ値2.20と市場平均より変動が大きく、短期的な下落リスクが存在する。
決算報告ではこれらのリスクが具体的に言及されていないが、市場環境の変化に注意が必要。
長期目線での投資判断可否
長期的な投資魅力を以下に評価する。
- 将来性: AIとデータ分析の需要拡大が見込まれ、PLTRの技術力は成長を支える可能性が高い。
- 競争優位性: 「AIP」や政府との強固な関係が持続的な強み。
- 経営戦略: 米国市場への注力とAI展開の加速が奏功している。
長期的な成長ポテンシャルは高いが、現在のバリュエーションの高さがリスク要因である。
投資家は成長と株価のバランスを慎重に検討する必要がある。
アナリストの見立て
アナリストの意見は以下の通りである。
- コンセンサス予想: 2025年EPS 0.55ドル、2026年EPS 0.69ドル。
- 目標株価: 幅広いレンジで提示され、市場の期待と懸念が混在する。
- レーティング: 買い推奨と中立が混在し、意見が分かれている。
アナリストの見解は成長期待を反映する一方、バリュエーションの高さから慎重な意見も見られる。
市場との整合性は高いが、短期的な変動リスクに対する警告も含まれる。
投資判断
PLTRはAIとデータ分析分野で高い技術力を持ち、米国市場での成長が顕著である。
売上高成長率(39%増)や利益成長率(EPS 58.3%増)は魅力的で、「AIP」の需要拡大が今後も成長を支えると予想される。
しかし、PER(500倍以上)やPBR(58.2倍)などのバリュエーション指標は非常に高く、株価は割高と評価される。
- 短期視点: 株価の急上昇(1年で448.9%)と変動性の高さ(ベータ2.20)から、短期的な調整リスクに注意が必要である。
- 長期視点: AI需要の持続性と競争優位性が維持できれば、長期的な成長が期待されるが、バリュエーションの妥当性を慎重に評価する必要がある。
投資家は成長期待とリスクをバランスよく考慮し、自身のリスク許容度に応じた判断が求められる。
資料出典:https://investors.palantir.com/
羊の雑記
時間外で9%下がってますね。いつものパターンです。
ある程度株価を戻しての利確下げも多いと思います。
ひつじはパランティアはペイパルマフィア株の一つなのでずっと持ってます。
19ドルから保有してるので、特段何もせずに放置予定です。
om
koyfin
koyfinは、詳細な財務データや市場分析を提供するプラットフォーム。特に、企業の財務諸表や市場のトレンドを深く分析する際に役立つ。
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