オラクル(Oracle Corporation)は、2024年第2四半期(会計年度2025年)の決算において、クラウド事業とAI技術への積極的な投資が収益成長を牽引していることを明らかにした。
クラウド市場での競争が激化する中、オラクルは独自の戦略と技術基盤を活かし、急速な成長を遂げている。
本記事では、最新の決算情報や経営陣の発言を基に、オラクルの財務状況、戦略、競争優位性を詳細に分析する。
最新決算の概要
財務パフォーマンス
2024年第2四半期の総収益は141億ドルで前年同期比9%増加。
クラウドサービスとライセンスサポートが収益全体の77%を占め、その成長が全体の収益拡大を支えている。以下は主な財務指標の詳細だ。
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総収益: 141億ドル(前年比9%増)
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クラウド収益: 59億ドル(前年比24%増)
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SaaS収益: 35億ドル(前年比10%増)
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IaaS収益: 24億ドル(前年比52%増)
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営業利益率: 43%(前年同期比60ベーシスポイント改善)
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非GAAP EPS: 1.47ドル(前年比10%増)
特にクラウドインフラストラクチャ(OCI)の成長が顕著で、GPU消費が336%増加するなど、AI関連需要が急速に拡大している。
出典:Oracle - Oracle Announces Fiscal 2025 Second Quarter Financial Results
株価
チャートは私の画面。
基本的に重要な移動平均線とトレンドを示す。
(欧米の投資家は50日線を重要視。あとは200日線)
移動平均線は200日線が水色、50日線が紫、21日線が黄色、9日線がピンク。
銘柄:ORCL
株価:178.58$ (2024年12月12日時点)
年初来:+69.38%
出典:https://finance.yahoo.com/quote/ORCL/
クラウド事業の現状と成長戦略
OCI(Oracle Cloud Infrastructure)の優位性
OCIは他社に比べて高速かつコスト効率が高い点が特徴だ。第2四半期には、OCI消費収益が58%増加し、年間収益97億ドル規模に達した。
また、NVIDIA H200 GPUを65,000台搭載した世界最大規模のAIスーパークラスターを提供し、AIトレーニング需要への対応力を強化している。
マルチクラウド戦略
オラクルはMicrosoft AzureやGoogle Cloud、AWSとのマルチクラウド提携を進めており、顧客は柔軟にオラクルデータベースを他社クラウド上で利用できる。
この戦略により、大規模な契約が次々と成立しており、第2四半期にはMetaとの提携も実現した。
データベースサービス
クラウドデータベースサービスも28%増加し、年間収益22億ドル規模に成長。オンプレミスからクラウドへの移行が進む中で、AzureやGoogle Cloudとの連携による「Database@Cloud」サービスが注目されている。
AI技術への取り組み
Oracle 23aiデータベース
新たに発表されたOracle 23aiデータベースは、既存のデータを活用して生成系AIモデル(ChatGPTやLlamaなど)のトレーニングを容易にする機能を提供。
これにより顧客は独自のAIエージェントを構築し、自社データで差別化されたAIソリューションを展開できる。
AI活用事例
オラクルは医療分野や農業分野など、多岐にわたる業界でAIエージェントの活用を進めている。例えば以下のような事例が挙げられる:
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医療診断支援(画像解析やゲノム解析)
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農業予測(衛星画像解析)
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不正検出やセキュリティ強化(リアルタイム監視)
財務状況とキャッシュフロー
キャッシュフローと設備投資
第2四半期の設備投資は40億ドルで前年同期比2倍以上に増加。これは主にAI関連需要への対応によるものだ。
一方でフリーキャッシュフローは12か月間で95億ドルとなり、高い水準を維持している。
RPO(残存履行義務)の拡大
RPOは97.3億ドルで前年同期比50%増加。
このうち約39%が今後12か月以内に収益として認識される見込みだ。特にクラウド関連RPOは80%増加しており、大規模かつ長期的な契約が増加していることを示している。
CEOサフラ・キャッツとラリー・エリソンの発言から見る戦略
サフラ・キャッツCEOのコメント
サフラ・キャッツCEOは、「オラクルクラウドは他社よりも高速でコスト効率が高い」と述べており、その結果としてAIトレーニングやマルチクラウド環境での需要が急増していることを強調した。
また、「第2四半期にはすべてのセグメントが内部予測を上回る結果となった」と述べており、今後もさらなる成長が期待される。
ラリー・エリソン会長兼CTOのコメント
ラリー・エリソン会長兼CTOは、「Oracle Cloud Infrastructureは世界最速かつ最大規模のAIスーパークラスターを提供しており、多くの主要顧客から支持されている」と述べた。
また、新たなOracle 23aiデータベースについても触れ、「顧客が自社データを活用して独自のAIエージェントを構築できる」とその利便性を強調した。
長期ビジョンと競争優位性
オラクルは「クラウドとAIによるデータ管理リーダーシップ」を掲げており、その実現には以下の要素が寄与している:
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モジュラー型データセンター設計: 小規模から大規模まで柔軟に対応可能。
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高い自動化レベル: 全クラウドリージョンが同一機能を持つため運用効率が高い。
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マルチクラウド戦略: 他社との提携による柔軟性向上。
リスクと課題
未来への展望
オラクルは2025年度末までにクラウド収益250億ドル超を目指しており、その成長は今後も加速すると予想される。
特にAIトレーニング需要やマルチクラウド戦略が引き続き収益拡大の鍵となる。
しかしながら、市場競争や技術革新への対応力が持続的成長の鍵となるため注視する必要があると思われる。
羊の雑記
昨日はテスラが最高値を更新しましたね。この調子で高値を更新してほしいです。
個別株も20銘柄ほど売却しました。1年以上保有しているものが多いので、利確を進めて新たな成長株を分析中です。
2025年は個別株の投資は銘柄をだいぶスリムにして集中投資に変えようと思っています。
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